輝くステンドグラスの物語

陽光が室内に長く差し込む冬は、ステンドグラスが輝きを増す季節。
日が傾くにつれ刻々と表情を変える光と色を眺めれば、つい作業の手が止まってしまうこともしばしば。

今日は窓際に置いたデスクの上に、ステンドグラスをディスプレイしました。

アンティークのステンドグラスはドアや壁に窓として直接組み込むこともできるけど、こうやってスタンドに立てて、好きな場所に飾るのも気軽で気に入っています。

ステンドグラスならではのしっかりとした重みも、小ぶりのサイズなら気になりません。

もちろん、小さくてもガラスの美しさを楽しむには充分。
サイドボードやデスクに飾れば、アンティークガラスならではの個性的なテクスチャーが視線を誘います。

倒れると危ないので、立てて飾る際には専用のスタンドを使ってくださいね。

アンティークガラスの凸凹とした模様も、オシャレでしょう?
光が複雑にガラスの中に入り込んで、趣きのある輝きを生み出すんです。

光の当たる角度が変わるたびに、ガラスの色も明るくなったり暗く沈んだり。
この単調ではない表情も、可愛い花のモチーフも、印象的な光も、全てアンティークステンドグラスの魅力の1つ。

とびきり素敵なステンドグラスを暮らしの傍らに置けば、毎日が輝きだすような気がしてワクワクしませんか?

さあ、
本日は輝くステンドグラスの物語にお付き合いください。

 

ステンドグラスの歴史

エナメルで絵を高温でやきつけるため、ステンドグラスは「色を焼き付けた(または着色した)ガラス」という意味があるのだそう。

その始まりは定かではありませんが、10世紀頃には既に作られており、色ガラスもフランスからイギリスへと伝わっていたそうです。

 

中世の板ガラスは吹きガラス(宙吹き技法)で作られていました。
この技法は、ガラスを吹きながら長い円筒状にし、上下を切り離した後、縦に切り目を入れて広げて板状のガラスにするというもの。

大きなガラス板はまだ製作できなかったものの、やがてガラス板を鉛桟(ケイム)で繋いで大きな窓を作り、重要な建築物に組み込むようになりました。

色ガラスを組み込んだステンドグラスは大変高価なものでしたが、その清らかで神秘的な光は人々を魅了するのに十分すぎる存在だったようです。

12世紀頃には教会の窓や神聖な祭壇画として盛んに製作され、教会を神々しい光で彩るようになりました。

17世紀から18世紀のヨーロッパでは、経済の低迷・戦争・飢饉など混乱した時代を迎えます。
教会は破壊され、仕事を失ったステンドグラス工房は消えていき、色のついていないプレーンなガラスが流行したそうです。

しかしステンドグラスは作られ続け、貴族や豪商の邸宅を彩る絵画的な装飾品としても楽しまれ始めます。

 

なお、近代にはいるとガラスは機械を使って作る「キャセドラルガラス」が主流になっていきます。

キャセドラルガラスは銅製のテーブルの上に焼けたガラスを流し、ローラーで平らにならしてゆっくり冷まして作られます。
表面に様々なテクスチャー(凹凸の模様)をつけられるのが特徴で、機械化により大量生産が可能になったそう。

19世紀からは産業革命によって台頭した市民が、より豊かな生活を求めた時代。
アールヌーヴォーの流行とともに華やかなステンドグラスにも再び注目が集まり、教会だけでなく、装飾用として個人住宅や店舗に広く用いられるようになりました。

建築物の一部として身近で親しまれるようになったステンドグラスは、現在でも街中で目を楽しませてくれます。

【歴史のこぼれ話】
ロンドンは「霧の都」という言葉でも有名ですが、19世紀は産業革命と大量の石炭燃料の使用により大気汚染が深刻な状態でした。

気象条件が揃うと、工場地帯だけでなくロンドンでも空気は真っ黒。重い呼吸器疾患を患う人も多かったようです。

暗い空、黒く煤けた街。

当時のイギリスの人々は、そんな憂鬱な風景を窓越しに眺めるよりも、鮮やかなステンドグラス窓で室内を明るくオシャレに演出して楽しみたかったのかもしれませんね。

 

アンティークガラスの輝きを求めて

イギリスで買い付けたステンドグラスは、アンティーク家具とともにコンテナに積み込まれて船で日本へ、
そしてそのコンテナをトレーラーで牽引し、長野県松本市のビクトリアンクラフトへとやってきます。

残念ながら長い道中でステンドグラスは割れたり欠けてしまうこともあるので、入荷後の状態チェックと補修は欠かせません。

当店では職人が1枚1枚異なるステンドグラスの状態に合わせて、丁寧にメンテナンスをしているんです。

例えばこのステンドグラス。
私にはキレイな状態に見えたのだけど、職人がサッと指を挿して
「ここ、ケイムが切れてるね。ここは古い塗装の跡が残ってる。」と、メンテナンスが必要なポイントを一つ一つ教えてくれました。

チェックが終わると、割れたガラスの交換・ケイムなどを補修する工程に入るのですが、
新たに補修したところが目立ってしまうと、素敵なアンティークの趣きも台無しに。

そのため、破損したガラスとできるだけ同じ時代・同じ質感のガラスを探したり、補修箇所にはエイジングをほどこして周囲に馴染ませるなど、メンテナンスは細部までこだわって仕上げていくんですよ。

【フレームについて】

ステンドグラスの木枠は、触れたときに指がトゲなどが刺さらないようキレイに仕上げているので、このまま飾っていただいて大丈夫です。

お手元で木枠を外して壁やドアなどに組み込む場合は、簡単に木枠を外せるようビスで仮止めだけをして仕上げます。
お気軽にスタッフまでご相談ください。

※古い窓枠などアンティークフレームのステンドグラスはこの限りではありません。

キレイに磨かれてメンテナンスを終えたステンドグラスは、本来の輝きを取り戻して店内へ。

今日も静かに輝きながら、新たな出番を待っています。

 

ドラマチックな光と色彩を楽しもう

大きなステンドグラスを1枚だけ飾ってドラマチックに。
小さなステンドグラスをお気に入りの雑貨と飾って、より印象的に。
あなたを幸せにしてくれる、とびきり素敵なステンドグラスを選んだら、あとは好きな場所に飾るだけ。

室内外の壁やドアに組み込んで、オシャレな小窓として楽しむのも素敵です。

さあ、鮮やかな光に染まる時間を楽しみましょう。

強い光を浴びるほどに鮮やかに輝くステンドグラスを飾れば
心まで光に満たされるような幸せな時間が始まりますよ。

 

5年後も10年後も、もっと先まで。

色褪せることなく、あなたとあなたの家族の毎日を素敵にしてくれる。そんなアンティークをビクトリアンクラフトはお届けします。

 

 


参考文献

「英国教会の解剖図巻」マシュー・ライス著 岡本由香子訳 中島智章監修/株式会社エクスナレッジ
「ガラス工芸」由水常雄/文遊社
「ステンドグラスの絵解き」志田政人/日貿出版
「ステンドグラスでつくる」山下カリ著 奥二郎監修/ほるぷ出版
「伝統に学ぶステンドグラス」志田政人 草間幸子/日貿出版


 

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