G-PLANと暮らそう
「神は細部に宿る」という言葉があるけれど、それはこの家具のことかもしれない。
G-PLANを見るたびに、そんなことを私は思います。
隅々まで洗練されて美しい。
見逃してしまいそうなほど細部まで計算されたカーブは、不思議と手に馴染んで心地良い。
暮らしの家具とはいえ、脚の先までモダンアートのような佇まいです。
イギリス・ミッドセンチュリーを代表する家具ブランド『G-PLAN』は、1960年以降のイギリスで爆発的な人気となりました。
昔ながらのクラシックな家具、世界大戦中の物資不足によって広まった簡素な家具、今まで身近にあったどの家具とも違う、オシャレな北欧スタイルの家具『G-PLAN』に人々は夢中になったそう。
半世紀以上も前のデザインなのに今でもこんなにオシャレだなんて、なんだか不思議ですね。
このG-PLANは組み合わせる家具やインテリアによって、モダンに、レトロに表情を変えるのも面白いところ。
実は日本のお部屋にも良く似合うんです。
フローリングのお部屋だけでなく、畳を敷いた和室にも。
例えばコテコテの和風な畳のお部屋も、
可愛い座椅子とともにG-PLANのコーヒーテーブルを置くと、素敵な昭和レトロのお部屋になっちゃう♪
(昭和生まれの私には、懐かしいような、新鮮なような…)
イギリス生まれの『G-PLAN』って本当に不思議な家具なんです。
G-PLANとスカンジナビア・デザイン
G-PLANとは、イギリス家具メーカー E.Gomme社(1898年創業)の家具ブランドです。
ここではG-PLANが生まれた時代をサクッと紐解いてみましょう。
1940年代~50年代のイギリスは、第二次世界大戦の空襲による損失で新しい住居の需要が高まっていた時代。
建築ラッシュが続くことで、住宅用資材や家具に適した木材が不足し、深刻な家具不足に陥っていました。
この原材料の不足と使用量の配給に対応するため、1942年~1952年までの間、家具を含めた様々な日用品はイギリス政府の計画の下で製造されていたんだそう。
(これらの家具はUtility Furniture(ユーティリティ・ファニチャー)と呼ばれ、CC41マークが付いています。)
当時 E.Gomme社は機械化による大量生産の体制を整えた大手家具メーカーでしたが、それでも政府の管理下では自由な家具作りは叶いません。
しかし、1952年に規制が解かれると、創業者の孫である3代目Donald Gomme(ドナルド・ゴム)は新しい家具ブランド『G-PLAN』を立ち上げます。
初期のG-PLANは昔ながらのオーク材を使った四角い家具を作っていました。
一方、その頃のイギリスでは「スカンジナビア・デザイン」と呼ばれるスタイリッシュな北欧家具が流行の兆しを見せていました。
最先端のオシャレな北欧家具に比べると、デザインの立ち遅れは否めません。
どうも初期のG-PLANの人気はパッとしなかったようです。
(レトロなデザインで可愛いと思うのですが…)
そこで3代目ドナルド・ゴムは、イギリス国内だけでなくデンマークからも家具デザイナーを迎え、チーク材を使った本格的な北欧(デンマーク)家具を次々と発表していきます。
時代のニーズに合わせ、新しいスカンジナビアデザインを取り入れたG-PLANは、洗練されたスタイルが人気となりロンドンを中心に都市部で大流行しました。
戦争という暗いトンネルを抜けた先の、新しい家具作りはスカンジナビアデザインで。
時代の転換期に生まれたG-PLANは、E.Gomme社にとって「新しい時代」の象徴だったのかもしれません。
新しい時代を、新しい家具と生きる
時はミッドセンチュリー。
伝統を好むイギリスで、新しいスタイルのG-PLANが大流行したのには、時代特有の要因があるようです。
家具の世界ではプライウッドなど自由な成型が容易な素材が生まれることで、従来の製法を覆す自由なデザイン・家具作りが可能になりました。
ダイニングチェア
さらに核家族という言葉が生まれるほど、家族の形・暮らし方も変わりました。
日本では東京オリンピックや大阪万博が開催され、高度経済成長に沸き、若い夫婦はニュータウンの団地に住むことが憧れだった時代と重なります。
新しい素材、新しい形、新しい価値観。
新しい時代の風が吹いたのがミッドセンチュリーという時代です。
若い夫婦の住む新しい家では、
昔ながらのコッテリした花柄の壁紙やカーペットではなく、シンプルで明るい色の壁紙とカーペットが好まれました。
そしてその部屋には、やっぱりモダンなチークの家具がよく似合ったのです。
豊富なシリーズ展開
G-PLANというブランド名は「予定・計画を立てて、買い足していく家具」というような意味が込められているそう。
時間をかけて、少しずつ買い揃えて欲しい。
ずっと傍に置いて暮らしを満たしてほしい。
当時のイギリスの家具カタログや広告には、G-PLANだけでコーディネートした新しい暮らしのスタイルが提案されています。
エクステンションテーブル ・ ダイニングチェア
戦後の資材不足が長く続いたイギリス人にとって、自分の選んだ家具でインテリアを完成させていく楽しみは「豊かさ」の象徴だったことでしょう。
加えて多様なシリーズ展開も、家具へのこだわりが強いイギリス人のハートを掴みました。
画像右下:ドレッシングテーブル
G-PLANは大量生産時代の家具。従って今でも多くのヴィンテージ家具が流通しています。
現代においても『G-PLAN』の名前の由来の通り、時間をかけて少しずつ家具を買い足していく・組み合わせていく楽しみがあるなんて素敵だと思いませんか?
オシャレに。暮らしやすく。
長い人生の中で「家具を買う機会」なんて、そう多くはないこと。
家族が増えた。新居に引っ越した。ライフスタイルが変わった。
人生のステージに合わせて傍に置く家具には『使いやすさ』も『オシャレ』も求めたいと思っています。
だから、G-PLAN。
イギリスミッドセンチュリーを代表するG-PLANなら、他メーカーの家具と並べてもオシャレです。
そして、お手持ちの大切な家具とも素敵なコーディネートを楽しめるはず。
コツコツと同じシリーズで家具を揃えたり、今あるインテリアに1つだけ加えたり。
楽しみ方は人それぞれですね。
きっと今の時代には、そんな自由な暮らし方がいい。
だから、G-PLANと暮らそう。
5年後も10年後も、もっと先まで。
色褪せることなく、あなたとあなたの家族の毎日を素敵にしてくれる。そんなアンティークをビクトリアンクラフトはお届けします。
ご紹介したG-PLAの家具は、オンラインショップでも販売中です。
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